吉中丈志著『いのちの証言 二硫化炭素中毒症』ラマツィーニ、現代によみがえれ

この本には何人もよく知っている人の名(故人が多い)が出てくる。長年二硫化炭素中毒症という職業病の専門家の立場で患者さんを診られてきた吉中丈志先生が書かれた書籍。著者の吉中先生は、かって湯布院で民医連の放射線技師の職域(九州)単位での学習会で講演して下さった方。その時の似顔絵が『*隠された職業病』(1993年発行)にこっそりと存在する、下手な絵は私が描いたのだった。吉中先生の二硫化炭素中毒症戸の出逢いは彼が医師になって5年目、この本の出版15年前のこと。目次は「ラマツィーニ、現代に蘇れ」「宇治での邂逅」「開業医の力」「専門医の力」「病人を診る」「民主的集団医療」「病人と患者の谷間」「隠された歴史」「現場から疑問」「支えた人たち」「日本産業医学会での報告」「国の責任」「職業病の輸出」「アカデミアの乖離」「患者同士の交流」「剖検番号1*2*」「労働者の物語」「労災隠しと研究者」「繊維産業と日韓国交正常化」「政略と賠償輸出」「葬礼闘争へ」「産災の量産機」「人道主義実践協会の成立」「病院、研究所、福祉館ができた」 以下省略と現在のグリーン病院への発展や国内の被災者のこと、運動などが詳細に述べられていて、職業病を輸出した経緯、国内での発見の遅れ会社の妨害などが検証されており、労災事態が隠されてきた歴史がある。・2016年9月1日発行 発行当時京都民医連中央病院院長(2025年現在公益社団法人京都保健会理事長) 特にこの病気は他の病気だと隠さがちで、労働者の立場に立つ正常な労組、医師、患者と支援側の連帯の重要性が要であることが強調されている。帯には医学には情あり、人々には志ありと書かれ 推薦文は小泉昭夫京大教授 この本に登場する人 熊本関係では 樺島敬吉医師(菊陽病院)、原田正純先生、岡田聖さん、韓国では朴賢緒先生など既に故人。
我々は熊本で「隠された職業病」を1993年に発行したが、日本の中古レーヨン製造機器による職業病輸出によって韓国源進レーヨン工場のCS2被災者を出したこと、その被災者と八代の被災者の交流を記録した本である。
補足
*『隠された職業病』の資料編64-65p抜粋(発行1993年)の③ユニチカ宇治工場の場合 「いのちの証言」〈大企業ユニチカが隠し続けた職業病を告発する闘い〉発行、京都労災職業病対策連絡会議(著者矢吹紀人)一九八八年京都労災職業病対策連絡会議 8月初版ここには京都のユニチカ宇治工場での二硫化炭素中毒症認定闘争の具体的な記録がある。このが中でも述べられているが「現場の労働者に二硫化炭素中毒症について知らされていない」「会社病院:ユニチカ中央病院での医師の対応などが積極的に労災職業病を隠そうとしていた」こと「職制の圧力」と「闘わない労働組合の問題」など今のレーヨン工場全体に共通している。一九八二年十二月、当時熊本県民医連の岡田聖部長(職業病担当)が全国のレーヨン工場に症例は必ずあるはずだとレーヨン工場所在地の民医連に片っ端から電話を入れた。この時「二硫化炭素中毒症の症状の患者はいないか」と京都民医連の上京病院に電話いれをしたのがきっかけとなってここのCS患者が発見されている経過も書かれている。もし一本の電話がなかったら依然一人も二硫化炭素中毒症はこのユニチカ宇治工場には存在しなかったであろう。まだわずか十年前のことだ。 と当時の記録がある。
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