「再会ベトナムのダーちゃん」早乙女勝元著

先日 あるOB会で話題になったこの本、参加者だった市原京子さんがこの再会の旅にカメラマンとして同行していたのだった。その本が山小屋の本棚に眠っていたので、下界へ持って帰って再読。著者の早乙女勝元さんは2022年5月10日90歳で亡くなっている。ダーちゃんのことを書かれた本は数冊ある。ダーちゃんは 映画「ベトナムのダーちゃん」などあって日本では有名。ベトナム戦争時(1968年3月)にアメリカ軍によるソンミ村の大虐殺があって、ベトナム反戦運動を大きくするきっかけになり(隠ぺいに失敗すると)アメリカ軍の戦争への大義名分が地に落ちた。その近所の村(クワンガイ省ハン・ティン村)でも同様の虐殺事件がおこり ダーちゃんは生き延び母は殺された。その現地での再会が一番の目的だった。10年来町立病院の医師の助手(医師補)をしているというダーちゃんには3人の子どもがいる。一番心配なのは子らの健康だ。ベトナムでは枯れ葉剤で多くの健康被害が出ており、いつかそれが影響しないかと不安に思っている。後先など構わずに戦争は酷いことをする。
この本の巻末にはアメリカによる戦争被害だけでなく、日本が占領していた1940年から45年にベトナムで「米」や大量の資源を搾取したため200万人(人口の2割)が餓死しているという記録も。詳細な裏付け資料とともに、日本軍の蛮行を写真におさめていたボー・アン・ニンさんのことが印象的。彼は交通事故の賠償金で買ったカメラを使い、米を奪われて飢餓に陥った人々の記録を残している。(略奪米は侵略地の兵隊以外にも国内の配給米にも混じっていたそうだ)生命を賭けての覚悟の撮影、そんなことが出来るとは凄い。見つかれば殺される。写真の中には骨と皮の人ばかり。ある痩せた少年の写真の説明で、やっと立っている感じでパンをやったら、すぐに息絶えたという生々しい話もあって、このとき見せて貰った100枚の貴重な写真を市原さんは全て撮影したという。戦争とそれに従う馬鹿らしさを国防費ばかり突出する今の日本は既に過去の加害も被害も忘れてしまっている様子。今更ながら違和感がいっぱいである。アメリカの残虐性を非難するだけでなく我が日本の兵隊がベトナムの人たちにやってきたことにも目を背けてはならない。戦争は人権と生命を破壊する。

(発行は1992年7月17日一刷 大槻書店)

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